《第1章》
蝶が美しいと気づいたのは 一体何歳の頃だっただろうか
子供の頃 夢中になった昆虫採集 眩しい夕日を見ながら帰った帰り道
今 俺の目には オレンジ色の光が映っているだけだ
あれー、井上先生、ですよね?
退職した高校の部活のOBに誘われて、なんとなく来てみた学祭だった
たこ焼き屋に並んでいたら 聞き覚えのある声が 俺の名を呼んだ
後ろを振り向いた 若い女性が立っていた
誰だ? 一瞬、思った
えーとー、浅見です、浅見、結衣 あのね、これです笑
そう言いながらその子は 両手の親指と人差し指で丸を作って、自分の目の前にかざした
あ
あの子か…
俺は 理系のクラスを担当していたので 女子生徒が極端に少なかった
その中で メガネをかけていた女子生徒が、一人いた
いつも静かに 授業を受けていた 地味な生徒だった
コンタクトにしたんですよ、私 分からなかったですよね笑
そう言いながら浅見結衣は たこ焼き、めっちゃイイ匂い〜 と笑った
コンタクト・レンズか…